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統合歴329年9月1日 最後の最後で大きな波紋を残した八坂州野宮地区スポーツギア高校大会も閉会後は静かなもので 特に大きな事件も起きず、心に残るような出来事も起きなかった。 要するに平穏無事と言えば平穏無事、そうで無いと言われればそうでも無い平凡な日常を そこはかと無く霧坂に粉砕されながら過ごし、恙無く夏休みを終え、自宅とギアスタジアムを往復する日々から 再び、校舎が中間地点として出現し極普通の高校生らしい日常が戻ってきた。 「あ゛~…学校行きたくなぁ~い…」 「新学期早々、憂鬱そうにするな。こっちまで気が滅入る。」 ガックリと肩を落として負のオーラを撒き散らし、今にも死にそうな声を出す霧坂に守屋は本当に鬱陶しそうに苦言を漏らす。 そもそも、夏休みだろうとそうで無かろうと同じ時間に起きて、制服に袖を通し二人並んで学校に向かう事に違いは無い筈なのだが。 (どうせ授業を受けるのが面倒臭いってだけだろ。) 失礼極まりないが、あながち的外れでも無い事を考えながら守屋は左隣を歩く霧坂に視線を向けるが 眺めていても何か面白い事があるわけでも無く、やがて興味を失い視線を真正面に向け、学び舎へと足を向けた。 八坂高校の付近を歩いていると、守屋を見て脅え恐れる生徒が二人の視野に入ってくる。 正門を潜り、グラウンドを抜け、廊下を通り、階段を上り、一年の教室棟へと歩を進める度に脅える生徒が加速的に増えていく。 夏休みのお陰で、すっかり忘れていたが転入初日に暴力事件のせいで自分が悪鬼羅刹、修羅、破壊神 そういった残念な何かのように恐れられていた事を思い出し、守屋は辟易しながら教室に入ると 騒々しかった教室が水を打ったように静かになり、これまた辟易する羽目に。 「これだから行きたくなかったのよ…」 霧坂はクラスメイト達のあからさまな拒絶の態度に苦虫を噛み潰したような表情でぼそりと呟いた。 だが、守屋は特に気にするわけでも無く自分の席に着き、泰然とした態度を崩さない。 怒り騒ごうが、嘆き悲しもうが事態が変わる筈も無く、暴力で物事を解決した報いと既に諦めている。 そんな守屋の態度に霧坂は半ば失望にも近い溜息を吐いて着席した。 (それで良いなら私が踏み込む事じゃないけど…苛々する。) その後の全校朝会で教師達が色々と如何でも良い事を喋っていたので右から左へと聞き流してやった。 そして、昼休みになると夏休み前と同様、守屋は人知れず何処かへと姿を消す。 人気の無い所に居ると言っていたが、詳しく聞いておくべきだったと霧坂は軽く後悔しながら校内を歩き回った。 「つーか、何処かに行くなら一声かけて行けっての…」 霧坂が不快感を露にしながら校舎を歩き回っている一方で守屋は校舎の屋上の日陰に寝そべり流れる雲を眺めていた。 屋上に出る扉には電磁ロックをかけられており、一般生徒が入って来る事はまず無い。 守屋が如何やって入ったかは一先ず捨て置こう。ただ高度化されたデジタル程、アナログに弱いとだけ述べておこう。 そんなわけで、八坂高校に転入して以来、人気の全く無い屋上は守屋の安息の地として愛用されている。 だが、この日の屋上は平穏な憩いの場にはならなかった。 屋上と廊下を繋ぐ開く筈の無い扉が、ゆっくりと音を立てて開いたのである。 生徒にとっては開かずの扉かも知れないが、八坂の職員のIDカードさえあれば誰でも開ける事が出来る。 そして、守屋は犯罪紛いの手段で立入禁止区画で寛いでいる。以上の2点を踏まえる事によって導き出される答えは何か? (見つかったら、夏休み延長だな…) 守屋は新学期早々停学になってたまるかと、慌てて影に身を潜め気配を消した。 「やっと見つけた…」 屋上に入ってきた人間は職員では無く八坂の女子生徒だった。 「全く…時間は限られていると言うのに、余計な手間をかけさせてくれる。」 栗毛のセミロングヘアの小柄な少女は屋上のフェンスに寄りかかり 探す素振一つ見せず、守屋が隠れている辺りに視線を移し悪態を吐いた。 八坂高校の生徒の大半は意味も無く守屋を恐れ怯えるのが常で辛辣な物言いに気分を害するどころか妙な新鮮味と 完全に気配を断っていたにも関わらず、一瞬で守屋の存在を看破した事に驚きを感じていた。 「人気の無い所でコソコソと…貴様は虐められっ子か? そこに居るのは分かっている。さっさと出て来い。」 新鮮味と驚きを感じはしたが辛辣極まる。その上、友好的な用件で無い事は確実だった。 何せ、少女の肩に担がれた白い包みの先端から、一般人が持つには相応しく無い白刃が顔を覗かせているのだから。 そんな物を持ち歩くような奴に追い掛け回されて前向きな発想が出来る筈も無く、守屋を辟易させるには充分過ぎた。 「真っ当な神経をしていれば長物担いで校舎を走り回るような奴から、逃げも隠れもするのは当然だろう?」 守屋は肩を竦めながら、影から姿を現し、軽口を叩く。 まるで数年来の悪友に接するかのような口振りだが、既に頭の中では逃げる算段を組み立てている。 「転入初日で50名の生徒を血の海に沈め、全校生徒を恐怖のどん底に陥れた奴が真っ当とは笑わせる。 未だに恐怖の化身扱いされている気分はどうだ?ええ?」 ご尤も過ぎて心が痛い。 「それで結局、何の用だ?」 守屋は折れそうになる心を半泣きで支えながら、本題に移る事にした。 大体の用件は想像が付くし、何よりもこの手の女と問答していても再起不能になるまで心を粉砕されるのは目に見えている。 「それ程、大層な用件では無い。」 そう言って、少女は包みを剥ぎ取り、薙刀の刃を守屋に突き付ける。 「手合わせ願おうか。拒否権は無いがな。」 「そんな物騒な物を振り回されては恐ろしくて敵わんな。」 概ね予想通り。そして、逃げ出す準備は既に整っており、何かの切欠があれば脱兎の如く駆け抜けるだけだ。 流石に職員棟まで逃げれば、この少女も薙刀を振り回すわけにもいくまい。…多分、恐らく。 全く持って、何が悲しくて校内で堂々と刃物を振り回すようなキチガイと戦わなければならないのか? 罰ゲームでやらされているのか、好き好んで薙刀なんて代物を振り回しているのかは知らないが古人曰く、逃げるが勝ちだ。 「あの娘…霧坂とか言ったか。お前を探して駆けずり回っていたので…な?」 しかし、少女の一言に守屋は両足を地に縫い付けられたかの如く、その身を硬直させ逃げる機会を逸してしまう。 そもそも、霧坂が巻き込まれているとなれば逃げるに逃げられない状況だ。守屋は忸怩たる思いで少女を叩き伏せる為に構えを取る。 「…霧坂に何をした?」 短く言を発するが、先程とは打って変わって明らかな狼狽の表情と、落ち着きの無い雰囲気。 それでいながら内に秘めた闘気と殺気が湧き出ているのを確信し、まずは満足と少女はサディスティックな笑みを浮かべた。 「さて…何をしたと思う?」 意外な展開に守屋は狼狽していたが、少女の読み通り内心で激情を燃やしていた。 それ故に思考の切替は一瞬。答える気が無いのであれば、答える気にさせてやれば良い。 少女がニヤケ面のまま、守屋から視線を外すと同時に距離を詰め、頭部に大穴を穿つ勢いで右腕を振るう。 「馬鹿正直なものだ。少し隙を見せれば必ず攻めて来ると確信していたよ。」 守屋の奇襲は既に予測済み。少女は焦る事無く薙刀の柄尻を支点に宙を舞い、着地と同時に薙刀を守屋の脳天に叩き落とす。 軽業師さながらの素早い回避から、一転して神速の剛撃。だが、得物が大きいが故に攻撃の軌道は至極、単純。 半歩程、身をずらし剣圧が守屋の頬を叩くと同時に少女の後頭部目掛けて肘を振り落とす。 「ッ!?」 少女の延髄に守屋の肘が突き刺さるよりも早く、薙刀が突如軌道を変え、横一文字に薙ぎ払われた。 非常識な斬り返しに守屋は驚いて目を見開く以上に反応する事も出来ないまま、まともに攻撃を喰らう。 とは言え、距離を詰めていた為、刃では無く柄で身を打ち付けられたのは不幸中の幸いと言うべきか。 それでも、打ち据えられた皮膚の繊維はブチブチと音を立てて裂け、骨が軋む不快な音が直接、耳朶を刺激する。 凄まじい剛撃の前に守屋は為す術も無く、フェンスに叩き付けられ肺に溜まった酸素を吐き出させられた。 「貴様…何者だ?」 あの小柄な体の何処にそんな膂力が秘められていると言うのだろうか? 不可解極まりない実力の持ち主を前に血の昇った頭が急速に醒めていく。 「女相手に良いようにされている貴様こそ何だ?ヘタレか?ゴミか?クズか?それとも、カスか?」 少女は矢継ぎ早に悪態を吐き続けるが、既に手遅れである。 今の守屋には恐れも焦りも怒りも無く、霧坂の事さえも思考の外へと追い出されている。 「態々、俺をキレさせようとして何を企んでいる?」 別に少女の口から、まともな返答が得られる事を期待していない。 そもそも、少女が口を開かずとも、少女が纏う雰囲気や表情が全ての答えを出しているも同然だ。 「思い上がるな。お前如きの短絡的な男を相手に企みなど不要だ。」 精神的な優位が既に覆されている事を自覚しているせいか表情も硬い。 守屋は機械化された狩猟者のように少女の一挙手一投足を目に焼きつけ、脳髄に刻み込む。 これでは、埒が明かないと少女は薙刀を構え直し、守屋をフェンス毎刺し貫こうと疾走する。 あの膂力から繰り出される一撃なら、その程度の事は容易かろう。 「だが…」 一陣の突風を伴った薙刀の刺突を左腕で打ち払い、フェンスの支柱に突き入れさせた。 薙刀の柄がミシミシと音を立て得物としての役割を終えようとしている。 狙い通りと守屋は口の端を歪め、少女が薙刀を引き戻すよりも早く肘を叩き落し薙刀を圧し折る。 「ッ!?」 確かに身体能力は守屋を遥かに凌駕しているのは紛れも無い事実だが、身体能力が必ずしも戦闘能力に直結するとは限らず 生まれながら優れた身体能力を持つ少女と、戦う為に優れた身体能力と思考能力を身に付けた守屋との差を明確に分けたのである。 「得物が無くてはまともに戦えまい!」 守屋は身を沈め拳を鉤爪のように開き、少女の両目を奪い取らんとするが少女は素早いバックステップで守屋の腕から逃れる。 「生憎とこの眼をくれてやるわけにはいかんのでな。」 そう言うと少女の瞳孔は縦に裂け瞳は紅に染まる。 「矢張り、紅眼か。少し目を狙えば本性を現すと思っていた。」 今更、驚きもしない。フェンスに叩き付けられた時点で予測していた。と言うよりも紅眼で無ければ不可能だ。 紅眼は総じて身体能力に優れているが、矢神玲のように卓越した戦士は極僅かだ。例外と言っても良い。 優れるが故に力任せの一撃でも一切合財にケリが付いてしまい、研鑽の機会が無く、その必要性を薄く感じがちになる。 だから、守屋のように多少なりとも戦い方を知っている者からすれば、紅眼など力が強いだけの戦い下手にしか映らないのだ。 「チッ…貴様の思惑通りと言うわけか。」 結局の所、紅眼を出したのでは無く出させられた事に気付かされ、少女は忌々しげに顔を歪めた。 「勝負あったな。」 守屋の最後通告である。少女の身体能力、反応速度は概ね把握している。 そして、それが守屋の戦闘能力ならば圧倒する事が出来る事も。 「残念な事にな…だが、まだ終われんな。」 少女は己の不利を素直に認めると、躊躇い一つ無く屋上から飛び降りた。 地面までの高さは40mあり、その間に植木のようなクッションになりそうな物は何一つとして無い。 「な…!?」 流石の守屋でも口から心臓が飛び出そうになる。目の前で投身自殺なんて夢見が悪過ぎる。 慌てて身を乗り出すと何事も無かったかのように走り去る少女の姿があった。 「なんて、出鱈目な…」 唖然とするのも一瞬。守屋は校舎に張り巡らされたパイプをつたって一気に下まで滑り降りる。 「普通の目で何の能力も無い癖に非常識な奴め…」 守屋が追って来る事は承知の上ではあったが、流石に自分と同じ方法で地に降り立つのは予想外だった。 だが、この程度の事であれば正規兵からすると、それ程難しい事では無い。 幼少期から訓練を受け、士官学校出立てのヒヨッコよりはマシなレベルの守屋ですら容易な芸当である。 流石に今の状態で、まともに守屋とやり合うのは不利だと少女は駆け出す。 (普通の人間では彼の相手は務まらないとは聞いていたが、此処までとはな…) 本来の目的を果たす為の布石のつもりだったが、色々と予定が狂ってしまった。 正直、制服の襟を引っ掴んで、地面に叩き付け引き摺り回し、顔の原型が無くなる程度に殴り潰されるのでは無いかと危惧している。 必要以上に挑発してしまった先程の自分を切り裂いてやりたい気分だ。 (どうも女が相手だとやり難いな…) 少女が危惧している通りの事をやってやりたい程度の怒りはあるのだが、流石に女子生徒に暴力を振るうのは躊躇われる。 最初の一発は顔面狙いで、次の一発が眼球狙いだったというのは怒り任せだったし避けられる事が前提だったので捨て置こう。 だが、何の為に守屋や霧坂を付け狙ったのか?誰かの差し金ならキッチリとケリを付けておきたい。 守屋は付かず離れずの距離を維持しながら少女を追った。 昼休みの真っ最中で人目があるにも関わらず、女子生徒を殴り倒したとあれば、どんな噂が流れるか分かったものでは無い。 そして、それが根も葉もない噂ならまだしも、紛れも無い事実なのだから尚更だ。 因みに、明日から守屋の噂の中に「守屋が空から降ってきた」という項目が追加されるのは最早、諦めた。 (リニアトレイン…拙い…) 距離を大きく離した状態で追っていたのが裏目になり、少女は出発直前のリニアトレインに駆け込んだ。 守屋の目の前でリニアトレインの扉が閉じ、少女を見送る格好になってしまった。 「逃がすかよ…」 守屋は半ば苛立ちながらモバイルシステムを起動、8枚の立体映像を呼び出し各駅の監視システムとリンクさせた。 大きく距離を離されてしまったが、少なくとも逃げた先の足取りを追う事は出来る。 守屋が一本遅れでリニアトレインに駆け込むと同時に、少女は守屋にとって見慣れた駅で降りる。 「ギアスタジアム…?」 嫌な予感を感じながら、各駅の降り口周辺の監視カメラとリンクさせていた立体映像を ギアスタジアム周辺の監視システムとリンクさせ映像を切り替えると嫌な予感が的中した。 ギアスタジアムの外れに見慣れないメーカーのロゴが入ったギアトレーラーが停車しており 先程の少女がトレーラーの中に入り込んで行く姿を監視システムの内の一つが捉えていた。 「この流れは違法ギアか…それとも、テロリストか…?」 違法ギアであれば恨みを買う心当たりが有り過ぎるが、あれ程の手練が違法ギアに身をやつすとは考え難い。 何よりも紅眼を持っている以上、華々しい活躍の場は多岐に渡り、テロもどきのような行為はリスクに見合わない。 となればテロリストの可能性…テロリストが何故、こんな回りくどい事をするのか?そもそも、何の因縁が有ると言うのか? (心当たりがあり過ぎて、どれの事か分からんな。) 八坂坂州に引っ越して来てからの事を思い返すのも馬鹿馬鹿しくなってくるが、 ギアまで持ち出して来るとなれば黙って捨て置くわけにもいかない。最初から捨て置くつもりすら無いわけだが。 モバイルシステムからアイリス・ジョーカーのシステムにアクセスし遠隔起動を要請。 夏休み中、霧坂の発案と整備担当部員の悪乗りによって搭載された新システムである。 ただ何と無く格好良さそうだからというだけの理由で。 「無意味な機能とばかり思っていたが、こんな形で役に立つとはな…来い、ジョーカー。」 流石に音声認証だからと言って、他の乗客が居るリニアトレインの中で大声で叫ぶ程の勇気も無ければ、恥知らずでも無い。 それに音声と命令内容さえ認識出来れば、声の大きさは無関係で叫ぶ必要性は全く無い。 程無くして、アイリス・ジョーカーは轟音を響かせながら守屋の下へ馳せ参じ、リニアトレインと並走する。 機体にかかる負担を一切考慮しない出鱈目な走り方に守屋は思わず顔を引き攣らせながら、コクピットブロックを展開させる。 既に勝手を知る愛機に飛び乗り、慣れた手つきでコンソールを叩き音声コントローラーに命令。 「モーションリンク開始。」 AI制御された鉄人形は支配権を主である守屋一刀に委ね、鋼鉄の巨人アイリス・ジョーカーとして立ち上がる。 こちらの準備が整うのを待つかのように、ゆっくりとした足取りで大鎌を携えた黒いギアが守屋機に対峙する。 「矢張り、見た事の無い機体だ…照合開始。」 違法ギアか、テロリストか、他校の生徒が潜り込んで来たのか判別が付かない上に 未知の機体に突撃する気になれず駄目元で機体情報を検索を開始する。 幸い、正体不明のギアというわけでは無く、検索命令と同時にアイリス・ジョーカーの サブモニタに少女の乗るギアの情報が次々に表示される。 トールド技研工業製MCI搭載型スポーツギア・ヴァイゼスト。アイリス・ジョーカーとほぼ同時期に開発された新型機である。 アイリス・ジョーカーと比べ若干、装甲強度・耐久性が優れ、機動力・反応速度が劣るが誤差の範囲でしか無い。 更に定格起動時のジェネレーター出力値は全くの互角で性能差は無いも同然である。 「ならば、後は搭乗者次第…か。」 「何時までも敵と見詰め合う趣味は無いぞ?」 ヴァイゼストは大鎌を振りかぶりながら間合いを詰め、アイリス・ジョーカーの上半身を刈り取るが如く、横薙ぎに振り抜く。 自身に迫る死神の鎌を受け流し、弾き上げ、無防備になった胴体に手刀を突き入れる。 「迂闊だな?」 だが、ヴァイゼストの胴にアイリス・ジョーカーの手刀が突き刺さるよりも早く、弾いた筈の大鎌が踊り狂う。 機体をバラバラにされては敵わぬと必死に距離を離すが、突然の攻撃に体勢を崩され追撃に備える事が出来るだけの余力は無い。 余力は無いが、それを自覚するだけの精神的余裕があったのがせめてもの救いか。 (法則性の無い理不尽な斬撃…ブースト付か!) 超重兵器でありながら、軽量兵器のような斬り返しが出来る武器など一つしか無い。 そして、三笠との対戦でブースト付の厄介さは嫌と言うほど、思い知らされている。 だからと言って事態はそれ程、好転に向かう事も無く、アイリス・ジョーカーの胸部装甲が縦一文字に切り裂かれる。 切裂かれた胸部装甲が紫電を噴いているが、何程の事も無い。 まともに受ければ、一撃で撃破される危険性すらあったのだから、被弾していないも同然だ。 (さて、どう対応したものか…?) 以前、三笠のブーストハルバードを無効化した時はMCI搭載機の出力、格闘戦能力の高さと 三笠の機体の性能を30%ダウンさせていたから出来た芸当…と言うよりも、力任せのゴリ押しに過ぎない。 機体性能は互角な上に三笠と違って、手心を加えてくれるような相手では無い。 (失敗は許されない…それ以上に…) 重く素早い斬撃。広い間合い。理不尽且つ、鋭い斬り返し。 「長考しながらの戦闘とは随分と舐められたものだな。」 言葉と共に大鎌がブースターから火を噴き大きく弧を描く。 まるで武術の型のように綺麗な姿勢で振り抜かれた斬撃はまさに疾風迅雷。 不覚にも対応する事が出来ず、無防備な姿を晒してしまう。 「次は首を落とすぞ?」 「もう一度言う。一体、何を企んでいる?何が目的だ?」 疾風迅雷の剛撃はアイリス・ジョーカーの胸部装甲を剥ぎ取るだけで 守屋とアイリス・ジョーカーにとって戦闘行動に支障をきたす程の損傷にはなっていない。 何よりも屋上で戦った時とは違い、攻撃に全く殺気が無く合理性が無い。 彼女がその気になれば最低でも二回は守屋を撃破出来ている。 だと言うのにも関わらず、この状況は一体どういう事なのだろうか? 「お前に余計な事を考える余裕は無い筈だが? お前が手間取れば、手間取る程…霧坂という娘が如何なるか…楽しみだな?」 ―刹那。守屋は思考を切り替えた。 彼女の目的など関係無い。テロリストだろうが、違法ギアだろうが関係無い。 そう。敵の信念、大義、理念、思想、その他諸々含めて何もかも知った事では無いし、聞く耳を持つ必要など無い。 そもそも、敵の事など何一つとして知る必要など無く、必要な事は眼前の敵を討ち滅ぼす事だけだ。 目の前に敵が居る。拳を振るう理由は唯それだけだが、それだけの理由があれば充分すぎる。 敵だというだけでも不快なのに、この少女は踏み込んではならない領域に踏み込んだ。 生かしておくのも不快な程に。そう思った時にはヴァイゼストの腹部に拳を突き刺していた。 「――早い」 正に刹那の瞬撃。気が付いた時にはアイリス・ジョーカーに間合いを詰められており、少女は感嘆交じりの溜息を吐いた。 しかし、不発は不発だ。守屋は忸怩たる思いでコクピットに肘打ちを叩き込むが、ヴァイゼストは被弾するよりも早く機体を密着させ 再び、打点をずらし守屋の攻撃を封殺。被弾した際に生じる衝撃が余りにも軽く、噴出す緩衝材の量も極僅か。 半ば苛立ちながら、得意気な面して肘打ちを受け止めた奴の横っ面を引っ叩く為、鋼拳を振り抜く。 今度は手応えがあった。但し、打ち付けたのはヴァイゼストの頭部では無く大鎌の柄尻だが。 スポーツギア随一と言われるアイリスタイプの脚力より生み出される渾身の膝蹴りで股関節を破壊し動きを封じる。 動きを封じる事が出来ないから良い様にされているわけで、これも思った通りにならない。 アイリス・ジョーカーの膝に片腕をつき膝を支点にひらりと飛び退き、再び大鎌の間合いにされてしまう。 「チャクラムッ!!」 何一つとして思い通りにならない戦況に苛立ち、怒鳴りながらシールドチャクラムに起動命令を発する。 守屋の苛立ちに呼応するかの如く、左腕のシールドからチャクラムが唸り声のような擦過音と火花を撒き散らしながら 嬉々として得物であるヴァイゼストの右肩に喰らいつく。 「必死になって、やっと一撃か?」 侮蔑を込めた皮肉を聞き流し、右腕のバックラーブレードの刀身を展開しながら再び距離を詰める。 此処まで必死になって、効果的なダメージを与えられたのはたったの一撃。言われるまでも無く自分の不甲斐なさに辟易する。 そして、冷静に対処しなければならない相手だという事は分かっているのに、上手く感情を抑制出来ない。何より… (――行動が思考に追い付かない。) 渾身の一撃、無心の一撃も有効打にならない。 守屋は苛立ちと己の無力さを斬り捨てるかのように力任せにブレードを振り抜くが、無造作に振るわれた大鎌に弾き返される。 機体の重量と出力が同等とは言え、大鎌の重量と推進システムによって得られる力の前では、必然的にパワー負けしてしまう。 「あああああッ!!!」 絶対的に不利な状況に対してでは無く、それを前にしても満足に対応出来ない自分自身の弱さにに対する怒りが爆発し 癇癪を起こした子供か何かの様に奇声にも近い叫び声をあげながら、出鱈目に剣を振り回す。 「やれやれ…堪え性の無い奴だ。」 少女の声色が一転して、まるで子供をあやす母親の様な優しさを湛えた声に変わるが 今の守屋がそんな事を気付けるだけの余裕がある筈も無く、ただ只管、闇雲に剣を振り回す。 そして、少女の声色が変わったとしても、その攻撃の苛烈さが変わるわけでも無く 大鎌に装備されたブースターを最大出力にして、守屋の剣速に対応し、あっさりと攻守が逆転する。 確かにヴァイゼストの大鎌―ブーストサイズが超重兵器としては破格の剣速を誇るのは事実だが それでも、人間特有の合理、非合理の入り混じった緩急の激しい長剣の剣速を持って対応するのは然程、困難では無い。 とは言え、この絶対的な力の差を覆す事が出来る程でも無い。 そして、ヴァイゼストにとって何気なく打ち払った斬撃でも、守屋の斬撃を防ぐ事も軌道を変える事も容易である事もまた事実だ。 武器がぶつかり合い爆音を辺りに撒き散らす度、守屋は必死に押し潰されそうな機体の体勢を取りながら大鎌の対応を優先する。 優先すると言っても大層な考えなど無く、攻撃速度任せに只管、剣閃を切り結ぶだけの力技の応酬。 否― 幾十程、斬り結んだ所でヴァイゼストの大鎌の柄は圧し折れ、刀身が宙を舞う。 「ほう?」 本来、この様な失態とは無縁なのだが、守屋が癇癪を起こしていたせいで逆に気付けなかったのだ。 互いの得物を切り結ぶ際、衝撃音だけで無く何かを削る擦過音が混じっていた事に。 少女は特に怯んだ様子も無く、感嘆し感心したかのように呟いた。 「ブーストサイズのウィークポイントに斬撃を集中し破壊…怒ってみせたり闇雲に剣を振るっていたのは、それを隠すためか? 直情的かと思えば、意外に小賢しいな?」 「黙れッ!!」 前言撤回。何も考えていないようで色々と企んでいる…と見せかけて、何も考えていない大馬鹿者の糞餓鬼だ。 少女は守屋一刀という男をそう評し、コクピット狙いの愚直な刺突を残った柄で受け流す。その顔には侮蔑も慈愛も無い。 「まだご機嫌斜めか?面倒臭い奴め。」 刺突を受け流され体勢を崩すアイリス・ジョーカーに追い討ちとばかりに足払いを仕掛け、大地に叩き付ける。 だが、地に伏せるよりも早くアイリス・ジョーカーから放たれた有線チャクラムが蛇の様にヴァイゼストの身体を戒める。 「チッ…本当に面倒な真似をしてくれるッ!!」 チャクラムによって繋がれたアイリス・ジョーカーとヴァイゼストは縺れ合いながら転倒し 少女の顔色が若干の焦りに染められるが、今更になって意識を切り替えても既に手遅れだ。 アイリス・ジョーカーの左腕はヴァイゼストの頭部を鷲掴みにし、右腕のブレードはコクピットに突き付けている。 「随分と手間取らせてくれたな。誰の差し金だ…答えろ!」 漸く、アドバンテージを手にする事が出来たものの既に心身共に満身創痍。 勝ち誇る余力など無いし、この少女は途中経過でしか無く一息つく余裕など許されてすらいない。 「それは勝者の台詞であって、敗者の言動では無いよ。守屋一刀。」 守屋には余裕も余力も残されていないというのにも関わらず、少女はこの状況に動じる事も無く 自分の絶対的有利を信じて疑っていない様子で、不遜な態度は健在だ。 「後遺症の一つや二つは覚悟するんだな。アイリス・ジョーカーフルドライブ…」 今の守屋に長々と問答するだけの余裕は無く、力尽くで口を割らせる為にアイリス・ジョーカーのリミッター解除をシステムに要請。 区大会の時のように自滅する程の出力アップでは無く、守屋の格闘戦能力に耐えられるだけの出力アップに留まっている。 それでも、スポーツギア程度であれば物の数秒で原型が残らない程の残骸に変える事の出来るだけのパワーはある。 「物を考えているようで何も考えていない。物が見えているようで全く見えていない。筋は良いが色々、残念だな?」 守屋がヴァイゼストを真ッ平らな鉄屑に変えるよりも早く、ブースターを吹かしながら宙を舞っていた大鎌の刀身が急降下し アイリス・ジョーカーの頭部に深々と突き刺さり、システムが完全に沈黙し、守屋の脳裏に敗北の二文字が突きつけられた。 そして、アイリス・ジョーカーは糸の切れた操り人形のように力無く倒れそうになるが、ヴァイゼストに抱き止められる。 「ふぅ…顔合わせの挨拶代わりにしては少しばかりハード過ぎたかな?」 少女は幾分か柔らかい声色で守屋に問いかけ、アイリス・ジョーカーを地に寝かせる。 「何故、トドメを刺さない?一体…何がどうなっている?」 少女の雰囲気の豹変と闘気の消失が逆に守屋をうろたえさせた。 「守屋。何故、お前が私に敗北したか分かるか?」 「……」 少女は守屋の狼狽など知った事では無いと言わんばかりに問いかけた。 自分が少女より弱いから負けた。それ以外に何があると言うのだろうか? 守屋は答えを見つける事が出来ず、押し黙った。 「紅眼と普通の人間。筋力と反応速度は紅眼の方が遥かに上だが、MCI搭載ギアに搭乗してしまえば搭乗者の能力に意味は無い。 スポーツギアの能力を引き出すのは搭乗者の役目だが、性能を決めるのは搭乗者では無い。」 どんなに非常識な腕力を持っていたとしても、それがギアに反映される事は無い。 飽くまで、搭乗者の動きをトレースするという入力方式であって、筋骨隆々だろうが貧相な身体をしていようが プラズマジェネレーターの規定出力を上回る事も無ければ、下回る事も無い。ある意味で平等だ。 「戦闘能力の優れるお前にとって種族として覆す事の出来ない力の差を容易に埋める事が出来、有利な状況を生み出せる。 だと言うのにも関わらず、お前は圧倒的に不利な生身での戦いで私を圧倒し、有利な筈のギア戦で私に敗北した。 原因は何だと思う?一応言っておくが生身で戦った時は本気だったが、ギア戦ではかなり手を抜いたぞ。」 守屋はヴァイゼストの搭乗者である少女が敵対者である事も忘れ、考え込んだ。 幼い頃から戦闘訓練を施され、高校生としては破格の戦闘能力を持ち異能の力を持つ紅眼相手ですら引けを取らない。 だと言うのにも関わらず、種族としての差が埋まった上で機体性能が全くの互角のギア戦で圧倒されたのか? 「今まで戦ってきた相手が雑魚ばかりだったのが、お前にとって最大の不幸だったな。 雑魚相手ならいざ知らず…今のお前では私は愚か、矢神玲に勝つ事など夢のまた夢だ。」 「貴女…一体、何者なんだ?」 「ん?ああ…自己紹介がまだだったな。二年の小野寺織(オノデラ シキ)明日から此処の生徒になる。 出身はお前と同じ砕牙高校だ。お前の練習相手にと理事長に半ば無理矢理拉致られてな…それなりに強くしてやるから宜しく頼む。」 ありがちな展開だが、守屋にとっては予想外の展開に唖然とする。頭痛もする。眩暈もした。辟易した。 守屋の区大会での成績は初出場としては上々。寧ろ、異常と言っても良い結果だったと言える。 優れた素質に整った設備、選手としての力を磨くには最適な環境にも関わらず、練習相手の欠如という前提条件の崩壊。 そんな本末転倒な状況を打破する為、理事長である八坂栄治が専属ギアと、レギュラーの地位を餌に釣り上げてきたのだ。 霧坂を男にして大金を持たせたようなダメな大人の典型のような人だ。守屋にとってはその光景をリアルに想像するのは容易い。 「霧坂が如何こうってのは?」 「あまりにも必死に探していたのでな、守屋が屋上に居る事を教えてやっただけだ。ついでにキーの外し方もな。 何処の棟の屋上かまでは教えていないが…守屋があまりにも上手く隠れるものだから、かなりのご立腹だったぞ?」 色々と眩暈がした。安息の地であった筈の屋上にまで霧坂の魔手が伸びる事になろうとは… 別に霧坂から逃れる為に屋上に居るわけでも無いし、聞かれたら答えるつもりではあったが。 「アイツでも怒る事があったのか…」 「どんな奴にでも感情はある。お前が何を仕出かしたかは知らんが、心当たりがあるのであれば謝罪しておけ。 そして、お前は他人に気をかけるだけの余裕は無いと言った筈だ。」 剣呑さは無いが何と無く聞き捨てならぬ小野寺の言葉に問い返すよりも早く答えが帰ってきた。 小野寺はモバイルシステムを起動し一枚の立体映像を守屋に投げ渡した 「な…」 「昼休み終了5分前。5分以内に大破したアイリス・ジョーカーを格納庫に戻してリニアトレインに乗って教室に戻る事が出来るかな?」 無理だ。 守屋は慌ててアイリス・ジョーカーのシステムを再起動し格納庫へ走り、リニアトレインに乗り 駅から教室まで全力で駆け抜けるが午後の授業に15分程遅刻してしまった。 気配を隠してクラスメイトと教師の目を欺き、自分の席まで後3歩というところで 霧坂にバレてしまい20分程、教室のど真中で教師から延々と説教を聞かされる羽目に陥ってしまった。 守屋は説教を右から左に聞き流しながら、霧坂と小野寺に何かしらの形でささやかな復讐を誓っていた。 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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ア.ル.フ.レ.ッ.ド @hofu_DA_bot 乙女向け
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数学問題botは数学の問題(主に大学受験数学)を一定頻度で発言するbotである。IDはmathematics_bot。類似のbotとして算数問題ボット があり、こちらは「中学受験程度の算数の問題」を出題する。 仕様 毎時50分にランダムで問題を出題するほかに、数学に関連した書籍の紹介を行う。また@に対する反応も機能しており、「出題」とリプライすると問題を配信、「一番いい問題を頼む」とリプライすると数学の未解決問題を出題する。仕様は数学問題botインフォにまとめられている。問題の解答は有志によって数学問題bot解答まとめにまとめられている。 数え方 関連項目 鳴滝 数学問題bot解答まとめ作成者。
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War World 項目数 12 総ポイント 200 難易度 ★★☆☆☆(~150) ★★★★☆(~200) 製品情報 http //marketplace.xbox.com/en-US/Product/War-World 配信日 10月1日 DL費用 400MSP ジャンル アクション アーケード ☆国内未配信 実績は、レベルセレクトで指定のステージを選択し、各難易度でクリアするだけで解除される。が、レベルセレクトを有効にしないといけないので、全実績に挑戦するなら一通りレベル100までプレイする必要がある。(ゲームはレベル100以降も続く)腕にもよるが、レベル100到達までイージーですら大体15~20時間かかる。かなり苦行。 Normal Level 1 Completed Complete arcade normal level 1 to win this achievement. 3 Normal Level 20 Completed Complete arcade normal level 20 to win this achievement. 6 Normal Level 50 Completed Complete arcade normal level 50 to win this achievement. 12 Normal Level 100 Completed Complete arcade normal level 100 to win this achievement. 24 Hard Level 1 Completed Complete arcade hard level 1 to win this achievement. 4 Hard Level 20 Completed Complete arcade hard level 20 to win this achievement. 8 Hard Level 50 Completed Complete arcade hard level 50 to win this achievement. 18 Hard Level 100 Completed Complete arcade hard level 100 to win this achievement. 32 Extreme Level 1 Completed Complete arcade extreme level 1 to win this achievement. 6 Extreme Level 20 Completed Complete arcade extreme level 20 to win this achievement. 12 Extreme Level 50 Completed Complete arcade extreme level 50 to win this achievement. 25 Extreme Level 100 Completed Complete arcade extreme level 100 to win this achievement. 50 ●Extreme Level 50 Completed レベル50はスタート地点が、このマップの一番安全な場所かつ必要な弾薬(バルカンとホーミング弾)が備えられている場所なので、敵がやってくるのをひたすら待って、来た順番に確実に撃破していくとクリア可能。ホーミング弾は、カメラをうまく調節すれば、正面の通路の角に隠れながら、敵に当てることができる。この方法でできるだけ序盤の内に敵の数を減らしておく。弾薬は、バルカンとホーミング弾交互に取れば、順次復活するので、交互に補充するように心がければ心配はない。一度でもやられると屋外にリスポンされクリアが難しくなるので、ノーデスでやること。敵が2機以上同時にやってくると瞬殺される場合があり難しいレベルではあるが、何度かリトライしているうちにどうにかはなるレベル。 ●Extreme Level 100 Completed どうにもならないレベル。ほぼ死角オンリー、敵の集中砲火、瞬殺の嵐。高度なエイムスキルに加えて、運も必要と思われる。
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FRONT MISSION 5~Scars of the War~ 【メーカー】スクウェア・エニックス 【発売日】2005/12/29 動作報告 HDA2.1 SCPH-50000MB(V10) Maxtor 6L200P0 WinHIIPv1.7.2 JP 起動確認 商品の説明
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Description Min. Max. Exp. Energy Avr./Eng Exp./Eng Loot Req.1 Req.2 Req.3 Req.4 Take over coastline 750 832 75 43 18.4 1.74 Elite Warrior ×20 Zulu Shield ×20 Horse ×35 Elephant ×15 Threatenneighbortribes 965 1001 80 45 21.8 1.78 Body Guard ×35 Body pieces ×1 Build a market 753 1212 45 24 40.9 1.88 Gold Bars ×1 Lead phalanxto war 1012 1304 100 57 20.3 1.75 Body Guard ×50 Elite Warrior ×50 Zulu Shield ×50 Horse ×50 Corrupt a priest 1203 1508 65 34 39.9 1.91 Hideout Location Precious Stone Ring ×1 Gold Bars ×1 Capture foe Chief of Chief 1369 1855 103 55 29.3 1.87 Elite Warrior ×99 Zulu Shield ×99 Hideout Location ×1 Horse ×99 Behead foe Chief of Chief 500 2000 150 80 15.6 1.88 Unknown Artifact Executioner Sword ×1 Flames(Collection Bonus + 10 Max Health)炎 Orange Flame Pink Flame Yellow Flame Red Flame Green Flame Blue Flame Purple Flame 長の中の長 Jobsのアンロックはレベル100,105,110,115,120,125,130。経験値指数の高いJobsが多いのでレベル130のBehead foe Chief of Chiefまではあっと言うまに成長します。 Take over coastline(海岸線を占拠せよ)☆☆☆ 遂行にはなんの妨げもないボーナスJobsです。1.74と高い経験値指数のJobsを楽しんでください。 Threaten neighbor tribes(近隣部族を脅かせ)☆☆☆ このJobsは修得単位が6%なので、本来1レベルマスターするのに17個、Level3 Masterdまでは51個のBody Piecesが必要とされるはずですが、これまたバグなのか仕様なのか、Body Piecesが減りません。その為、上記のTake over coastlineに続いて非常に簡単なJobsが連続する事になります。 Build a market(市場を構築せよ)☆☆☆ 罠Jobsです・・・レベル120でアンロックされるCorrupt a priestでもGold Barsが必要になるのでここで使い切ってしまうのは得策ではありません。Build a marketの経験値指数は1.88と喉から手が出る程の高い効率ですが、Corrupt a priestは1.91とさらに上を行きます。 修得単位は7%ですので、このJobsをLevel3 Masterdにするには45個のGold Barsが必要になります。気長にExtract gold from oreと往復してください。 Lead phalanx to war(戦線に陣形を率いよ)☆☆☆ まずこのJobsがアンロックされて驚くのは要求されるItemの数の多さです。 Body Guard ×50、Elite Warrior ×50、Zulu Shield ×50、Horse ×50と資金力が試されます。しかし、Fightのみで経験値を稼いできたならともかく、ここまでの備蓄で十分に要求を満たす事は可能です。 修得単位も10%と気前が良く、10回でレベル1をMasterd、30回でLevel3 Masterdとなる超ボーナスJobsです。 Corrupt a priest(司祭を買収せよ)☆☆★ Precious Stone RingとGold Barsを要求される難関Jobsです。このサイトで予め情報を得ていたならBuild a marketでGold Barsを使い切ってしまうような事はないと思いますので、Precious Stone Ringが許す限りチャレンジしてください。 獲得できるLootはHideout Locationでこちらも減らないLootです。一度目のチャレンジで引き当てられれば良いのですが、失敗すると要求される2つのLootを求めてGreet foreign merchantsとExtract gold from oreをさ迷うハメになります。修得単位は8%なのでLevel3 Masteredまでには2種類のLootが39個必要。Hideout Locationの入手後は一旦Jobsの遂行を中断する事になるでしょう。 Capture foe Chief of Chief(敵の長を捕らえよ)☆☆☆ Lead phalanx to warに引き続きあなたの財力が試されるJobsです。修得単位は10%で経験値指数が1.87、しかも得られるExperienceも103と全Jobs中最大。Hideout Locationさえ入手していればボーナスステージに、そうでなければ一切手をつける事の出来ない絵に描いた餅となります。 Behead foe Chief of Chief(敵の長を断頭台へ)☆☆☆ 長い道のりを経て最終のJobsに当ります。要求はタイトルに合わせた洒落たものになっており既に満たしていますので最後のLoot、Unknown Artifactの獲得を目指してください。 これ以上の成長を目指す方にとっては、レベルアップの際には寸止め・ブーストには最適。他のJobsやFightで経験値の残りを1~6に減らしたら最後に実行。これだけで150Experienceもブースト出来ます。
https://w.atwiki.jp/gow3wiki/pages/8.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
https://w.atwiki.jp/cod_bo3/pages/101.html
Man-O-War imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Man-O-War画像お願いします) 特徴・考察(行数制限無しで記入可能) 連射速度は遅く反動も大きいが、精度、威力は高くフルオートのARの中では中距離で最高のキルタイムを誇る。大口径装備時はHS込みで二発キルが狙える。他のARと比べて僅かにスプリント後の構え速度とADS速度が遅い。ファストハンドとクイックドローで欠点は解消できるので凸気味のプレイヤーはそう言うカスタムを作っても良いだろう。ロングバレルも相性がよく大体のマップでミニマップの端から端まで三発キルになる。アイアンサイトはあまり見やすいとはいえないので慣れないならサイトの類いを着けたいが他のアタッチメントにポイントを裂きたいので此処にポイントを使うのは微妙かも知れない。ともあれおおよそ全てのアタッチメントと相性の良い汎用性に優れた武器なので自分のスタイルに合ったカスタマイズを施して最大限にポテンシャルを引き出したい。 コメント アプデで使いやすくなったっていうけど変わらないような… - 名無しさん 2016-01-16 05 50 51 じゅうぶん強いと思うけどなぁ - 名無しさん 2016-01-16 08 22 10 こいつにつけるアタッチメント欲しいの多杉て困る - 名無しさん 2016-01-16 11 47 42 下手な俺でもかなりキル取れるから、強いよ。 - 名無しさん 2016-02-11 22 03 00 名前
https://w.atwiki.jp/diablo3_2ch/pages/65.html
効果 Unlocked at level 29-Cooldown 60 seconds Fire a massive volley of arrows around you. Arrows fall from the sky for 5 seconds dealing an average of 105% weapon damage per second.自分の周りへ一斉射撃を行う。矢は5秒間降り注ぎ、平均して武器ダメージの105%/秒のダメージを与える。 Alabaster StampedeSummon a wave of 14 Shadow Beasts to tear across the ground, knocking back enemies and dealing 270% weapon damage.地面を引き裂いて現れるシャドウビーストを14体召喚し、敵をノックバックさせ武器ダメージの270%を与える。 Crimson Beastly BombsSummon 20 Shadow Beasts to drop bombs on nearby enemies, dealing 330% weapon damage each.シャドウビーストを20体召喚し、周囲の敵へ落す。武器ダメージの330%を与える。 Golden Flying StrikeA group of 12 Shadow Beasts plummet from the sky at a targeted location dealing 270% weapon damage and stunning enemies for 2 seconds.12体のシャドウビーストの群れを目標地点へ空から急落させ、武器ダメージの270%を与え、2秒間スタンさせる。 Indigo Dark CloudLaunch a massive volley of guided arrows that rain down on enemies for the next 12 seconds for 120% weapon damage.誘導矢の斉射を行い、12秒間敵に降り注ぐ。武器ダメージの120%を与える。 Obsidan AnathemaSummon a Shadow Beast that drops grenades from the sky for 20 seconds dealing 30% weapon damage.シャドウビーストが20秒間空中からグレネードを落す。それぞれ武器ダメージの30%を与える。 評価 使い方 その他 コメント 名前 コメント Demon Hunter Skills Active Skills Offensive Hungering Arrow、Entangling Shot、Evasive Fire、Fan of Knives、Bola Shot、Grenades、Chakram、Impale、Spike Trap、Elemental Arrow、Multishot、Cluster Arrow、Rapid Fire、Strafe、Rain of Vengeance Descipline Caltrops、Vault、Marked for Death、Smoke Screen、Companion、Shadow Power、Sentry Utility Preparation Passive Skills Brooding、Thrill of the Hunt、Vengeance、Steady Aim、Cull the Weak、Fundamentals、Hot Pursuit、Archery、Perfectionist、Custom Engineering、Grenadier、Sharpshooter、Ballistics
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試合開始と同時に一振りばかりの剣戟を切り結び、立て続けに膝蹴りを叩き込む。 自らの斬撃の反動、互いの打撃の反発力に沿って距離を取り、中距離兵装を揃って構える。 リヴァーツの両手首のカバーがスライドし、四本のクナイが陽光を反射し鈍い輝きを放ち アイリスの左腕のシールドに収納されたチャクラムが火花を散らしながら高速回転を始める。 矢神は斬馬刀を愛機の真上に投げ、空いた両腕の指にクナイを挟み、上半身を逸らし 勢い良く上体を跳ね戻すと同時にアイリスの両肩の関節に投擲する。 高速で飛来するクナイの軌道は愚直なまでに馬鹿正直な直線攻撃。 確かに目で追うので精一杯だが、真っ直ぐに飛ぶだけの攻撃など脅威になどなり得ない。 (第一撃で両肩の関節を狙い…) 守屋は放たれたクナイの軌道を見切ると同時に左腕を振るい、チャクラムを開放する。 勢い良く放たれたチャクラムは、蛇がのた打ち回るかの様な変則的な軌道を描きながら 四本のクナイを纏めて叩き落し、リヴァーツの首を狙うが、新たに放たれた四本のクナイに 立て続けに刺し貫かれ四散し、ハラハラと宙を舞う。 (第二撃でチャクラムを破壊し…) そして、チャクラムの残骸の隙間を潜り抜け、更に四本のクナイがアイリスに殺到する。 「チャクラムシールドパージ!」 それを見越していた守屋は動揺一つせずに役目を終えた盾を切り離し、地に落ちる前に 左腕で掴み取り、飛来するクナイ目掛けて投げ飛ばし、四本全てを無力化する。 此方もチャクラムを失ったが、リヴァーツの飛び道具を全て使わせる事に成功しただけで充分だ。 だが、矢神はそれを意に介する事無く円を描きながら落下して来た斬馬刀を受け止め 宙を舞うチャクラムシールドを一刀両断に叩き割り守屋の元へ猛然と肉迫する。 (間髪置かずの第三撃からの斬撃!大丈夫だ…やれる!) 此処までのやり取りは、ただの前置きだ。クナイの対応だけに全力を傾けていたわけでは無い。 守屋は、いつ矢神が剣戟戦闘に入って来ても良い様に注意を傾けていた。 内心で心身ともに自分が落ち着いている事を再確認し、振り落とされる斬馬刀に刃を合わせる。 剛撃を受け流し、身を翻しながらリヴァーツの首筋に渾身を込めた一撃を振り落とすが 矢神は斬馬刀を片手に持ち替え、空いた右腕でバックラーブレードの刃腹に裏拳を叩き込み 斬撃の軌道を逸らし、勢いの落ちた斬撃を肩の装甲で受け止める。 更に、矢神は守屋に驚く暇も与えず、空いた左腕一本で斬馬刀を操り アイリスの腰部目掛けて掬い上げるような重い刺突を繰り出す。 防御から攻撃への斬り返しの速さに、守屋は一瞬ばかり反応が遅れる。 しかし、リヴァーツの剣は両腕で扱う事を前提に設計されており、片腕での攻撃は鈍重。 それ故に守屋の技量でも視認してからでも、回避が充分に間に合う程度の剣速しか無い。 (問題は…剣速が遅くても、被弾が即敗北に繋がるって事か…) 剣速自体が遅くとも斬馬刀が持つ質量ならば、致命的なダメージを負う事になる。 守屋は地を転がりながら刺突を避け、距離を取り剣を構え直し、矢神の追撃に備える。 「綺麗に真っ二つ…やっぱり、リヴァーツの斬撃を受け止めるのは不可能か。」 偶然、真っ二つにされ地面に晒されたチャクラムシールドが守屋の視界に映った。 綺麗な切り口を見て、腹が底冷えする思いをしながら改めて、リヴァーツを視界に収める。 攻めあぐねているのは事実だが、愛機の衝撃緩和剤の残量には充分な余裕がある。 それに大きなダメージは未だ受けておらず、五体満足。自身も愛機もまだまだ戦える。 (そうだ…俺もジョーカーもまだ戦える。最強を相手に戦えているんだ…俺は!) 幾度と無く無粋な横槍が入り、最強への挑戦を阻まれた憤りも忘れて只管、前に出る。 「漸く、巡りに巡った俺達の戦い!ニヤケ面しながら戦ってんじゃねぇぞッ!!」 斬馬刀を両の腕で握り締め、八双の構えから神速で叩き落される斬馬刀の斬撃を 体を一回転させ遠心力と重さを伴う回し蹴りで持って迎撃し、更に前へと突き進む。 「なんで、バレてるんだよッ!!」 間合いを詰めつつ、斬馬刀の間合いを制圧し上半身のバネを漲らせ弓の様に引き絞り… 超神速の刺突を以って狙うはただ一つ!矢神玲の!リヴァーツの!最強の首を討ち取る! 「お前が単純だからに決まってるだうがッ!!」 目にも止まらぬ刺突。だが、矢神玲という最強の牙城を切り崩すには遠く及ばない。 矢神は斬撃の予測も視認もせず、経験と生まれ持った勘のみを頼りに左腕を閃かせる。 (これは不味いか?) 一瞬、守屋の脳が弱気な思考に支配されかけるが、既に攻撃は放たれている。 ならば、強者に屈しろと囁く脆弱な思考諸共、その首を刺し貫いてしまえば良い。 「俺が単純って言うよりも、矢神サンが出鱈目なんだッ!!」 自らを奮い立たせ咆哮と共に渾身の刺突を穿つが、僅か一瞬とは言え迷いを持った時点で 矢神に付け入る隙を与えた様なものだ。首筋に吸い込まれようとしているバックラーブレードを 難も無く掴み取り、一息で容易く握り潰す。 「ッ!?」 その恐るべき怪力を目の当たりにして守屋は思わず息を呑むが、何ら不思議な事では無い。 通常のギアよりも二倍以上の骨格パーツを採用する事で、搭乗者の動きをより忠実に再現し 搭乗者の技量次第ではカタログスペックを遥かに凌駕する性能を引き出す事が出来る。 その上、徹底的に一撃必殺に拘った専用の斬馬刀は競技兵装中、最大の質量と重量を誇る。 だが、それ以上にリヴァーツを最強のギアたらしめている要素はもっと単純な事だ。 刃渡り8mの巨大な斬馬刀を鋭敏且つ強力、自由自在に操る事が出来る出力。 自らの手から決して斬馬刀を取りこぼす事が無いようにと、備えられた途方も無く馬鹿げた握力。 その力はギアの装甲、盾、刃であっても掴める物であれば容易く握り潰す事が出来てしまう。 武器どころか、ギア本体が悪ふざけと悪乗りの極みとも言うべき設計思想なのだ。 「何て出鱈目な…だが、このまま引き下がれるかッ!」 守屋はブレードの破片を撒き散らしながら、正拳突きを叩き込む。 守屋の拳がリヴァーツの頭部を叩き潰すよりも、矢神の蹴りがアイリスの腹部を強打する方が早い。 必死に踏ん張り堪えるが、地面を両の足で削りながら後方へと吹き飛ばされ、斬馬刀の間合いになる。 (嫌な感じに追い込まれているな…) だが、リヴァーツとて大会規定に則って設計されたスポーツギアの一機に過ぎず 決戦能力を徹底的に特化させたというだけで、絶対無敵とは言い難く、弱点も多い。 そもそも、安価で安全確実に、より人間的な動きを再現する事を念頭に設計されており 次世代型スポーツギアの存在とも言える機体で試作機としての意味合いが非常に強く リヴァーツは無敵・最強よりも失敗作、欠陥品という形容詞の方が似合っている。 例えば、必要以上に人間的な動きを再現する事に拘り、骨格のパーツを二倍にした結果 小さな損傷が毒の様に全身に広がり、些細な事で機能不全を起こす事。 骨格のパーツが二倍以上に増えているのにも関わらず、平均的なギアの製造コストに 無理矢理合わせる為、簡易大量生産が可能な粗悪なパーツに頼らざるを得ない。 これ等の問題を解決する為に大出力のジェネレーターと専用の斬馬刀を持たせ 必要以上に執拗且つ悪質なまでに決戦能力に特化させた事により、却って自らの攻撃の反動で 対戦相手どころか自身の身まで傷付け、先に挙げた機能不全と合わせて長期の試合に 耐え得るだけの頑強さを持たせる事が出来ず、攻撃力が高いだけの欠陥機でしか無い。 だが、選手の動きを忠実に再現し、カタログスペックを凌駕する性能を引き出す事が出来る骨格。 一撃必殺の破壊力を誇る斬馬刀。そして、優れた身体能力を誇る紅眼。 三つの要素が絡み合い、矢神玲とリヴァーツを難攻不落にして、最強の剣聖たらしめており まるで、リヴァーツが矢神玲だけの為に設計されたとしか思えない程、絶妙な相性を誇っている。 とは言え、短所を無理矢理、長所で打ち消そうとして失敗した欠陥機でしか無い。 それに性能を際限無く引き出す事が出来る性質を持っていようと物質その物の強度や 耐久性を引き上げる事は不可能だ。小さなダメージでも良いから与えさえすれば勝機もある。 (脆弱な防御性能と稼働時間の短さに付け入る…俺に与えられた勝機など…) 小さな損傷が毒のように全身に回るのを待つか、回避に専念しリヴァーツが消耗したところで 攻撃に転じ、一気に攻め落とす。今の守屋が矢神を打倒し得る手段など精々、この二つだ。 だが、現時点でリヴァーツに小さな損傷の一つすら与える事が出来ておらず 寧ろ、攻撃を交わす度にアイリス・ジョーカーの損傷がじわじわと広がっている。 如何にリヴァーツの稼働時間が短いとは言え、それを補う為の一撃必殺の決戦能力だ。 リヴァーツが消耗するまで守屋が矢神の猛攻を凌ぎ切るのは余りにも現実味が無い。 それに地区大会の違法ギア襲撃事件を思い返せば分かるように、矢神程の凄腕ならば 一撃必殺の性質を保持しつつ、機体の負担を最小限に押し留め、ハンデを覆す事など造作も無い。 これでは妄想と大差が無く、非現実的だと守屋は矢神の自滅を諦める。 仮に実現可能だとしても、その様な手段を用いて手にした勝利に何程の価値があるというのか? 矢神玲という最強の壁を乗り越え、対等のギア乗りとして立つには、ただ勝てば良いというものでは無い。 策を弄せず、真正面から、ぶつかった上で討ち果たさなければ、それは対等では無い。 では、無力な挑戦者、守屋一刀が矢神玲という最強の牙城を如何切り崩せば良いのか? (考えろ…相手は同じ人間と、人間が作った機械。何か他にも弱点がある筈…) 「ゴチャゴチャと考えている暇があるなら、一撃でも多く打ち込んで来い!!」 悉く、攻撃を無効化された上に蹴り飛ばされた挙句、矢神の間合いに身を晒してしまい 構え直しながら刹那の瞬間に矢神の攻略法を模索する為に思考を張り巡らせるが 一秒にも満たない思考でさえ、長考が過ぎると矢神が業を煮やすには充分過ぎた。 獣の唸り声の様な轟音を放ちながら薙ぎ払われる斬撃に慌てて、身を屈めながらやり過し 地を切裂きながらリヴァーツの頭部、正確には顎目掛けて鋼の豪腕を振り上げる。 だが、矢神は避けようとするどころか、アイリス・ジョーカーの拳に自らの頭部を叩き付ける。 「なッ!?」 頭部を失えば失格。その上、頭部の強度は全ギア共通で造り自体はかなり脆い。 死守すべき筈の頭部を矢神自らが差し出した事に守屋は驚きのあまり、その身を硬直させる。 「チッ…一発でも多く打ち込めってんだろうがッ!!」 斬馬刀を逆手に持ち替え、地を削りながら柄尻でアイリスの胸部を殴り付け、打ち上げる。 宙に飛ばされ、穿たれた胸部から装甲片をばら撒きながら地に――落ちるよりも リヴァーツが斬馬刀の刃腹でアイリス・ジョーカーを弾き飛ばし、地に叩き付ける方が早い。 斬られたわけでは無いが、無防備の状態で打ちのめされ、地を転がり大の字になって倒れ込む。 「立てよ。大して効いていねぇだろ?」 「クッ…やっぱり、強いな…」 守屋はよろめきながらアイリス・ジョーカーを立ち上がらせ、機体の損傷状況を確認する。 派手に叩き付けられた割に矢神が言った通り、機体その物に大したダメージは通っていない。 胸部の大穴も表面装甲で留まっており、見た目程の損傷は無く、試合続行に支障は無い。 「真正面から正々堂々ってお前の武士道精神みたいな戦い方。そんな勝負も嫌いじゃない。 だがな、お前の言う最強の壁ってのは理性で抑圧したような戦いで踏破出来る程度の壁なのか?」 「それは…」 「俺を打ち倒したければ獣の様に!我武者羅に!あらゆる手段で!全力でかかって来いッ!!」 矢神は斬馬刀の切先をアイリスに突き付け、砂塵を巻き上げ、地を蹂躙しながら猛然と肉迫する。 守屋は迫り来るリヴァーツを呆然と眺め、矢神の言葉を反芻した。 余りにも綺麗過ぎる戦い方で遊戯宛らの中途半端な闘気が込められた拳打と剣戟の応酬。 矢神玲という最強の牙城に挑む権利が手に入っただけでしかないのに、この浮かれ様。 圧倒的な実力差を前に思考を張り巡らせ、全力を出した程度で埋められるものでは無い。 これでは目の前の最強が呆れ果て、業を煮やすのも無理は無い。 ならば、如何戦えば打倒し得るのか? 「…取るべき行動は見えた。」 矢神の罵倒や挑発にも似た激励を受けて、守屋の意識が漸く、切り替わる。 愚かな上に無様な戦いをしてしまったものだと自嘲しながら迫り来るリヴァーツを視界に捉える。 「力でも思考でも駄目ならば、火中に我が身を曝し、限界を越えるまでだッ! ―来い、最強!今日、この時、この場所を以って、その首を貰い受けるッ!」 守屋は拳を握り直し、矢神を迎え撃たんと足に根が張ったかのように地を踏み締める。 「全く…追い込んでやらねぇと本気の一つも出せねぇのかよ…」 矢神は仕方の無い奴だと呆れながらも苦笑するが、それも僅か一瞬。 バカなら何時でも出来る。今はその時では無い。厳しい表情に切り替え、守屋の元へと疾走する。 確かに守屋が望むような延々と剣戟と打撃を交わす様な戦いも悪くは無いと思う気持ちはある。 だが、矢神は守屋に対して、そんな戦いを求めてはいないし、求めるつもりも無い。 ―何故か? 守屋は自分を最強と呼び、その最強に並び立った上で、その更に先を目指している。 口先だけの目標を掲げる奴は幾らでも居る。自分には無理だと諦め断念する奴も同様だ。 だが、守屋一刀は違う。下らない事で悩み、躓き、揺らぐ事も決して少なくは無い。 それでも、着実に歩を進め、最強の首を討ち取らんと気焔を立ち昇らせ 自分の首に手をかける所にまで遂に到着したのだ。 だからこそ、矢神は全力を持って対峙するに相応しい相手だと認めているのだ。 両者の間に立ちはだかる圧倒的な実力差など、何程のものでも無い。 それ故に、興行としての小奇麗な戦いを受け入れる事は断じて、有り得ない事だった。 『互いに』最強を目指し、欲さんとするのならば、泥臭く、貪欲に醜く奪い合うのが王道だ。 矢神は、それすらせずに手に入る最強に価値、意味、喜びを見出せないと考えている。 だから、守屋を同じステージに、同じ目線に、対等の立場に引き摺り上げたのだ。 そして、遂に守屋も決戦の意気込みを見せ腹を括った。最早、準備運動は終わりだ。 「次は…斬る。」 守屋を再び、間合いに捉えると同時に飛び上がり、上半身のバネを撓ませる。 上空からの刺突だが、切り上げ、振り落とし、薙ぎ払いへ派生可能な斬撃の結界。 そして、下手に後退すれば着地と同時に下半身の爆発的な瞬発力を用いた突進技が 全身を打ち砕かんと、襲い掛かるという寸法である。 無事にやり過すには、一息で間合いの外へと飛び退く以外の手段は無い。 (さあ…守屋、死力を尽くして限界を越えてみせろ!) 守屋は自ら矢神の間合いに踏み込み、着地を待たずにリヴァーツを迎撃する為に跳躍する。 アイリスと斬馬刀がすれ違うと同時に矢神は眉間に皺を寄せ、目尻を吊り上げ、目を細める。 「バラバラになりなッ!!」 矢神はリヴァーツを旋回させ、アイリスの上半身と下半身を切断せんと斬馬刀を振り抜く。 鋼が鋼を蹂躙する鈍い衝突音と重い衝撃がリヴァーツのコクピットに反響する。 (いや、いつもより重い…) 刹那、アイリス・ジョーカーを捉えた斬馬刀がほんの一瞬だけ大きく、押し返される。 ギアを叩き切った感触とは大きく異なる。守屋が何かを仕掛けたであろう事は考えるに容易い事だ。 「面白い…いや、地に脚を付けずに放った剣如きじゃ当然か?」 斬馬刀の刺突が薙ぎ払いに派生する寸前、守屋は斬馬刀を白刃取りの要領で掴み取り 薙ぎ払いの勢いに乗って上昇し、宙を舞いリヴァーツの上を取る。 「上空からの刺突から派生可能な変則的な剛撃見切ったッ!!」 「やっぱ、お前は考え無しに戦うのはやめた方が良さそうだな?」 今度は此方の番だとが吼えるが、矢神は慌てた風も無く地に着地すると同時に機体を反転させ 斬馬刀の柄尻を掴み、アイリス・ジョーカーを仰ぎ見ると同時に投擲する。 「そういった台詞は少しでも頭を使えるようになってから言えよッ!」 迫り来る斬馬刀を再び、白刃取りで掴み取り、落下しながら柄を両の腕で握り締め リヴァーツを大地に縫い止めんと上から急襲を仕掛ける。 「無茶苦茶しやがる…面白くなってきやがった!」 面白いが、機体を砕かれるのは必至。矢神はアイリスの落下予測地点から愛機を飛び退かせる。 轟音と共に舞い上がる砂煙を睥睨しながら、守屋からの攻撃を待ち構える。 「さあ、奪い取った太刀でどうやって戦うつもりだ?」 砂煙を切裂いて躍り出たアイリスの腕は何も手にしていない。 「あの大刀さえ封じる事さえ出来れば良かった。あんな物を振り回すつもりは無い。」 そう言って、アイリス・ジョーカーの着地点に目線を動かすと流石の矢神も唖然とする。 「おいおい…伝説の剣かよ…?」 斬馬刀は地中深くまで突き刺さり、柄だけが地表に顔を出していた。 「少なくとも、引き抜く暇を与えてやるつもりは無い。」 「本当に面白い奴だな…だが、得物一つ封じたってなァッ!!」 リヴァーツの腕がアイリスに襲い掛かる。見た目は華奢だが、スポーツギア随一の豪腕。 だが― 「徒手空拳の格闘戦で俺とジョーカーに敵うと思うなよッ!!」 迫り来るリヴァーツの拳を受け流し、手首を捉え、捻りあげる。 「チィィッ…」 此処に来て漸く、矢神の表情が翳りを見せた。 「その右腕を叩き落す!」 捻りあげられたリヴァーツの右腕の肘目掛けて拳を振り上げる。 回避は間に合わない。破砕音と共に右腕が宙を舞い、力無く地に落ち砂埃を舞い上げる。 まさかの大番狂わせに会場はどよめいた。あの矢神玲が苦戦する事など有り得るのかと。 観客の多くは矢神玲を倒せる選手など一人しか知らない。 そして、その選手は今大会決勝で矢神の手によって潰え、去年の雪辱を自らの手で果たすだろうと。 だが、その矢神がスポーツギアのとしては無名の守屋に深手を負わされ、追い込まれている。 リヴァーツが一撃必殺の決戦能力に秀でているのと同様にアイリス・ジョーカーは 徒手空拳の格闘戦に特化しており、武器を持ったギアを相手に素手で互角以上の 戦いが出来るように設計されており、多岐に渡る追加武装などメーカー都合の 利潤追求の為に開発された蛇足でしか無く、素手の状態こそが完成形なのだ。 故に素手同士の戦いにおいて、アイリス・ジョーカーの右に並ぶギアなど存在しない。 だと言うのにも関わらず、アイリス・ジョーカーはリヴァーツから飛び退き、地に片膝を着く。 何が起こっているのか分からないと誰もが呆気に取られ、固唾を呑む。 「流石に一筋縄ではいかんか…!」 「俺を倒すチャンスだったってのに、右腕取ったくらいで喜んでいるからだ。」 守屋がリヴァーツの右腕を砕く直前―矢神はアイリスの左肩を掴み粉砕した。 異変に気付いた時は既に手遅れ。大穴を穿たれた胸部にリヴァーツの蹴りが喰らい付く。 寸でのところで飛び退き、直撃だけは避ける事に成功したが胸部と左肩から紫電が走る。 垂れ下がり、千切れかかった左腕を肩口から引き抜き、立ち上がる。 (上半身の反応が鈍い…強さの底が見えない……だが……) 守屋はリヴァーツの手から得物が離れた瞬間、格闘戦で圧倒する事が出来ると考えていた。 だが、右腕と引換えに左腕を持っていかれた上に、上半身の機能不全のおまけ付き。 圧倒的に有利な格闘戦ですら大きな実力差を完全に埋めるには到らない。 だが―― 「あの矢神玲に有効なダメージを与えられたのは十分な進歩なんじゃないのか?」 「俺の首を取りに来たんじゃねぇのかよ?右腕取った程度で満足してんじゃねぇ!」 「誰が満足したって?俺は欲張りでね。右腕が取れるなら首が取れない道理は無い。 それに…今日、この時、この場所でその首を貰い受ける…そう宣言した筈だッ!!」 上半身に機能不全が起きたとは言え、まだ右腕がある。下半身も健在だ。 確かに矢神とリヴァーツが最強である事に疑い様は無い。寧ろ、その想いは強くなった。 だが、だからと言って完全無欠、絶対無敵では無い。奴の愛刀を封じた。右腕を滅した。 此方も大きな傷を負ったが最強の牙城を切り崩す為の着実な一手を取る事が出来たのだ。 「来い!防人の大刀!この首、易々と取らせると思うな!」 守屋は引き千切った左腕をリヴァーツに投擲。 矢神は事も無げに残った左腕で打ち払い、更に投擲されたバックラーを打ち落とす。 だが、その隙を突いて眼前に迫ったアイリスの左胴回し蹴りに対応する為の右腕を失っている。 アイリスの蹴りに叩き付けられながらも、蹴りの流れに乗って横っ飛びに攻撃を捌き、やり過ごす。 更に機体を一回転さえ、回し蹴りを放つが、アイリスの右腕に阻まれ脚を掴まれ押し倒される。 「矢神玲ッ!!その首貰ったッ!!」 守屋は倒れ込みながら、掌底をリヴァーツの頭部に叩き込む。 「守屋、よく頑張ったな。」 試合中の矢神の口からとは思えない程、柔らかな口調で守屋を慮る柔らかな声が届く。 確かに守屋は敵に檄を飛ばされながらも、最強を相手に一定以上の損傷を与える事に成功した。 ギアに乗って僅か半年。初出場ながらによくぞ『善戦した』と言える。 「だが、まだ俺の首はやれないようだ。また来年、挑戦しに来い。」 そう…守屋の放った掌底はリヴァーツの首を取るには紙一重の所で届いてはいなかった。 アイリスがリヴァーツの頭部を打ち砕くよりも早く、その手首を掴み取られ攻撃を阻まれていた。 リヴァーツの握力ならば、このままアイリスの右腕を握り潰し、その首に手をかけるのは容易い。 「まだだ…握り潰される前に押し潰すッ!!」 「面白い…根競べといこうかッ!!」 重量差でアイリス・ジョーカーが勝るとは言え、出力差ではリヴァーツが圧倒的に勝る。 異音を立てながら、アイリスの右腕が押し潰されていくが、矢神にも油断が許される状況では無い。 アイリスに押し潰された事で、この戦いで蓄積された疲労が今になって、その身を襲い、出力が低下していく。 その上、アイリスの右腕を掴む左腕に亀裂が走り、破砕音が鳴り響く。 並外れた力を持ち合わせていようと、リヴァーツの腕にアイリスの体躯を支え続けられる程の強度は無い。 握り潰されていくアイリスの右腕と、圧壊していくリヴァーツの左腕。 だが、この拮抗状態も長くは続かない。徐々にアイリスの右腕が押し上げられていく。 「まだ…守屋の首を圧し折る余力は残っているようだな…」 「クッ…これまでか……ッ!?」 ギアが崩れ落ち、蒼穹の空に破砕音が木霊し、この戦いの決着が付いた。 長々と続いた試合も終わってみると呆気の無いものだった。 準決勝戦第一試合―勝者、八坂高校代表、守屋一刀。 「お、俺の勝ち……だと?な、何がどうなっている!?」 「お前の目は節穴か?俺の首を持っていくどころか完全に叩き潰しているじゃないか。」 あまりにも意外な、予測外の結末に守屋は軽い錯乱状態に陥っていた。 事の真相はこうだ― アイリス・ジョーカーがリヴァーツの剛力に押し上げられ、右腕を握り潰される寸前。 守屋は為す術も無く、愛機の頭部を握り潰されるのを待つだけの状態にあった。 覚悟を決めた瞬間、突如として、リヴァーツが力を失ったのである。 機能不全という毒が全身に回り、機体が行動不能に陥ったわけでは無い。 リヴァーツの左腕が先に破砕したわけでも無く、守屋の最後の力に押し負けたわけでも無い。 終わってみると実に呆気の無いもので、真相を知ってしまうと実にバカバカしいものだった。 「そんな真相なら知りたく無かった…」 先にも述べた通り、リヴァーツは様々な欠陥を抱えた試作機だ。 それを矢神玲という選手の力と並外れた決戦能力で様々な欠陥を補い、最強の一角を担っている。 だが、優れた技術を持ち、機体に掛かる負担を限りなくゼロに近付ける事は出来てもゼロにはならない。 そして、一撃必殺の設計思想故に機体を稼動させる為の燃料に割かれるスペースは極僅か。 「ま、流石の俺でもガス欠ばっかりは如何にもならんなぁ。」 そして、互いに死力を尽くすという肝心な場面でエネルギー切れを起こし 戒めを解かれ、倒れ込んだアイリスに頭部を押し潰されたというわけだ。 「な、納得いかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええッ!!」 守屋の叫びが、アイリスの外部スピーカーを通じてスタジアム内に響き誰もが苦笑した。 「まあ、勝負ってのは最後まで何が起こるか分からないって事だな。」 矢神はロビーで守屋を宥めるが、未だに機嫌は悪く納得がいかないという顔をしている。 埒が明かないと守屋の肩に手を回し、無理矢理、胸元に引き寄せ、スクリーンパネルを指し示す。 そこには準決勝第二試合の様子が映し出されている。 「納得がいかねぇってのは分かるけどよ、アイツはそんな調子で勝てる相手じゃねぇぞ。」 「アイツ…?」 矢神が指差したのは黒と碧のコントラストで彩られた鋭角的なシルエットのスポーツギア。 「前大会の優勝者の月島静丸と、ティアマット。前回の決勝戦で俺を軽く捻り潰してくれた奴だ。」 「なっ…軽くっ!?」 矢神の言葉に守屋は目を見開き、スクリーンパネルに釘付けになる。 「まあ、今回の大会で前回のリベンジしてやるつもりだったんだが…お前に譲ってやんよ。 相手は真の最強。無様でも良い。必死こいて喰らい付いて、奴の首取って来い!」 矢神は守屋の背中を叩き、立ち上がらせニヤ付きながら、顎でその先を指し示す。 そちらに目を向けると複雑そうな表情で立ち竦む、霧坂と小野寺が佇んでいた。 「霧坂。それに小野寺先輩…」 「矢神の打倒。まずはよくやったと言っておこう。だがな……」 しかめっ面の小野寺に無表情の霧坂が続いた。 「流石に人目の多い所で男同士でイチャ付くのは……相当、気持ち悪いよ?」 一つのベンチに男二人してべったりと引っ付き、肩を抱き寄せられ試合観戦している姿は… 守屋は胃の内容物が逆流して来る様なムカつきを…要は吐きそうなほどの不快感を感じた。 それ以上に霧坂に無表情で気持ちが悪いと言われた事に心を深く抉られた。 「ああ…客観的に自分を省みたら恐ろしく気持ち悪い事に気付いたよ…」 「守屋君って、モテるのに女の影が無いのはそういう事だったんだね。失望したよ。」 「色々と誤解だ。その蔑むような目を止めろ。マジで止めろ。お願いします。」 初耳且つ、詳しく聞きたい情報が守屋の耳に飛び込むが、今はそれどころでは無い。 あの霧坂が軽口一つ叩かずに真顔で拒絶の言葉を吐いてくるのは堪えるものがある。 尤も、霧坂は霧坂で臍を噛み、自身の脇腹を抓り、必死に笑いを堪えているわけだが。 (実はからかっているだけだってバレたら、ぶん殴られるかも知れないわね。) 霧坂の新たな芸風。つまりは何時も通りだ。 「逢引の最中にすまんが、矢神を借りるぞ。」 二人の状況に気付いている霧坂とは対照的に、小野寺は怒りで肩を打ち震わせながら 霧坂に必死弁解する守屋を横目で流し見て、矢神の傍らに立ちシャツの裾を掴んだ。 「ッ!?……返さなくて結構です。」 守屋は一瞬、凝縮された殺気のような物を差し向けられた様な錯覚を覚えるが 矢神や小野寺に構っている場合では無いと短く返答し、誤解を解く事に躍起になっている。 「俺は物か?」 「物でも馬鹿でも男色でも何でも良いから、こっちに来い。」 守屋の弁解の言葉もネタ切れ寸前、霧坂の笑いの忍耐力も決壊寸前。 そんな折に小野寺は有無を言わさず矢神を引き摺り、矢神も気にした風も無く引き摺られ 二人して去って行くという異様な光景と組み合わせに守屋と霧坂は呆然と見送った。 『いつから、そんな仲に?』 小野寺が八坂高校の面子よりも先に、矢神と邂逅を遂げている事を知る者は居ない。 そして、小野寺は矢神を人気の無い所まで引き摺った所で漸く、手を離した。 「こんな人気の無い所まで引き摺って来て…愛の告白でもする気か?」 「あんな下手な芝居を打ってまでして、守屋に勝ちを譲って良かったのか?」 小野寺は矢神の軽口を無視して、試合中の行動や結果に疑問をぶつけた。 矢神はどうした物かと思案するが、小野寺が相手では隠し通せないと悟り腹の内を語る事にした。 「俺との試合で随分と腕を上げたが…まだまだ不十分だからな。 月島さんとやり合って上手くいけば、守屋は俺達と同じ領域に立てる。」 「はあ…やれやれ…大方、そんな所だろうとは思ってはいたよ。 だが、己の闘争本能を満たす為とは言え、随分と回りくどい事をする。」 矢神の腹の内を悟った小野寺は心底呆れたかのように肩を竦める。 守屋が自分と互角の戦いを出来るようにする為だけに下手な芝居を打ち、思い付く限り 自然な形で守屋を勝利させ、更なる強敵と戦わせて、その成長を促そうとしているのだ。 強い闘争本能を押さえ込むのでは無く、理性と知性で以って強く解き放つ事に対して 労力を惜しまない矢神の気質には、流石の小野寺でも呆れ果てるのは無理も無い。 「でも、良かったのか?月島静丸―君が彼と戦うチャンスは今日が最後なのだぞ?」 「良いも何も、もう譲っちまったしな。それに今日の強敵よりも明日の強敵ってな。 後、月島よりも守屋の方が面白い。俺とした事がガス欠に気付かないくらいだからな。」 「何だ?アレは芝居では無く素だったのか?」 小野寺は上目遣いで意地の悪そうな顔をして矢神に笑いかけるが 矢神は小野寺の皮肉に気付いた様子は全く無く言葉を続けた。 「本当はパワー負けして顔を握り潰される予定だったんだがなぁ…」 結果的には守屋に悟られる事無く、自然に敗北するという矢神の目論見は成功した。 だが、自らが招いた失態により其処に到る過程は少々、思惑から外れる物だった。 それが、エネルギー残量の確認漏れという未経験者ばりの失態を犯した事により 敗北してしまったのは少しばかり頂けない。これでは素で敗北したみたいだ。 「君に腹芸は向かん。何を如何すればリヴァーツがパワー負けするというのだ。」 小野寺は、心底あきれ返ったような表情で矢神を見つめた。 何処までいっても真っ直ぐな――大馬鹿者だと。 「さーて!いよいよ、決勝戦!守屋の奴ぶったまげるだろうなぁ!」 何時までも、悔やんでもいられない。矢神はわざと大きな声を出し小野寺の手を引く。 意気揚々と客席に戻ろうとするが小野寺は矢神の手を握り直し、その場に留まる。 「どうした?」 「一つだけ確認しておく…矢神。さっきのアレは冗談か?それとも本気か?」 矢神が小野寺の方へ顔だけ動かすと小野寺は真剣な表情で矢神を見つめる。 「さっきのアレ?どれの事だ?」 「男色か否か―解答次第では君に対する今後の態度を改めねばならん。」 今度は矢神が呆れる番だ。何故、そんなアホな事を真顔で問い詰められねばならんのだと。 「俺はノーマルだ。ホモでも無ければ、ロリコンでも無い。」 矢神は憮然とした表情と硬い声で返答し、半ば強引に小野寺の腕を引っ張り、歩みを再開した。 そして、二人が会場に戻るとティアマットの足元にアイリス・ジョーカーが片膝を付いていた。 「強過ぎる…勝機が見えない…」 矢神が予測していた通り、守屋は月島に一方的に追い込まれていた。 そして、余りにも異質過ぎる選手の力に翻弄され戸惑いを隠せないでいる。 「俺も通った道だ。強くなる為の鍵を掴み取るまでは負けてくれるなよ?」 これでは去年の焼き増しだと矢神は苦笑しながら呟く。 去年の州大会の決勝戦で矢神は月島との対戦で、一方的に叩きのめされ敗北を喫した。 だが、その屈辱的な敗北も無意味では無く、今の地位まで一気に上り詰める切欠を得る事が出来た。 だから、矢神は自分に出来て、守屋に出来ない道理は無いと考え今回の行動に到ったのだ。 しかし、最後まで最強の牙城を切り崩す事が出来なかった事に僅かながら後悔が滲む。 月島の連続優勝に待ったをかけ、名実共に最強にという願望が少なからずあったのだ。 「悔やむくらいなら、守屋に勝ちを譲らなければ良かったのでは無いのか?」 「表情だけで何処まで見透かすつもりなんだ?」 矢神が小野寺と知り合って、もう間も無く3ヶ月。 今月に入った辺りから小野寺は矢神の小さな仕草や表情の変化を見ただけで まるで心の声が聞こえているかのように思考に対する疑問や意見、解答を口にする。 その上、的中率100%、これには流石の矢神でも、些か怖気づいてしまう。 「矢神。いい加減に君が単純なだけなのだと気付いてくれ。」 若干、引き気味の矢神に対し、小野寺は得意気な顔をして挑発的に笑う。 知り合って僅か三ヶ月足らずだが、小野寺にとって矢神の思考など単純この上無い。 ほぼ毎日、行動を共にしていれば、何を考えているかなど手に取る様に分かる。 「君の脳は戦闘時以外は基本的に停止しているも同然だからな。 戦闘中でさえ無ければ、君の考えを読む程度ならば然程、難しくは無いよ。」 戦闘時の矢神の思考も読めるようになれば、三割程度の勝率も少しはマシになるのだがと 小野寺は内心で自嘲するがそれが出来れば苦労は無い。 矢神の頭は戦闘に供えて常時停止しているのだから。 「ああ、そうかい…」 矢神が憮然としていると視界の端から鋼が崩れ落ちる破砕音が鳴り響いた。 二人が思い出したかの様に目を向けると、頭部を失ったアイリスが膝から崩れ落ち、地に伏していた。 「クソッ!!やっと掴めたってのに、よりによって3年生かよ!!」 敗北はしたものの守屋の声にはしっかりとした覇気があり、月島に再戦を求め怒鳴り散らかしている。 八坂州、個人戦王者、岸田学園三年、月島静丸。彼に残された出番は年度末の全国大会のみ。 全国大会は総勢10名の選手が州代表選手として選抜され、州対抗戦として対戦が繰り広げられる。 州大会まではライバルだった選手達も全国大会では心強い味方に様変わりする。 つまり、守屋や矢神にとって、この決勝戦が月島と対戦する最後のチャンスだったというわけだ。 勝利を手にする切欠を手にしても、それを実行する機会は既に二人の手から零れ落ちている。 無念さのあまり守屋は幾度と吼え、その様子を見て矢神は満足気に笑う。 「矢神。君の目論見は上手くいったようだな。」 「月島さんと戦って守屋が強くなれるかは、賭けだったが…譲って正解だったな。 後は守屋が何処まで強くなれるか…来年の地区大会が楽しみってなもんだぜ。」 まるで守屋が強くなった上で、自分自身を打ち倒す事を望むような口振り。 最強の一角として名高い矢神だが、頂点である事より常に挑戦者である事を望んでいる。 小野寺は呆れる素振一つ隠さずに溜息を吐き、表彰式の開始を待った。 #back(left,text=一つ前に戻る) ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) #region #pcomment(reply) #endregion